実家じまいの進め方。誰も住まなくなった実家を売る・貸す・残すの考え方
親が施設に入った、親が亡くなった。そうして誰も住まなくなる実家を、どうするか。実家じまいは、家の中の片付け、家そのものをどうするか、名義や税金の手続きの3つが重なる仕事です。このページでは、売る・貸す・残す・解体するの4つの道を、不動産会社でも片付け業者でもない立場で並べて比べ、決める順番をまとめました。
- 実家じまいは「片付け」「家をどうするか」「手続き」の3つに分けて考える
- 決める順番は、誰が相続するか、住む人はいるか、維持できるか。家族の合意が先
- 相続登記は相続を知った日から3年以内が義務。空き家の税の特例にも期限がある
目次
実家じまいとは。3つの仕事に分けると見通しが立つ
実家じまいは、親が住んでいた家を、家族が管理しなくてよい形に整えることです。やることが多く見えますが、片付け、家をどうするか、手続きの3つに分けると、誰が何をするかを決めやすくなります。
| 仕事 | 中身 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 片付け | 家財の仕分け、形見分け、不用品の処分や買取 | 遺品整理業者、自治体のごみの窓口 |
| 家をどうするか | 売る・貸す・残す・解体するのどれにするか決めて進める | 不動産会社、解体業者 |
| 手続き | 相続登記、電気や水道の解約、売ったときの確定申告 | 法務局、司法書士、税務署、税理士 |
3つは同時に進むこともあります。例えば売ると決めれば、片付けの終わりを引き渡しの日に合わせることになります。全体の順番は次の記事で詳しく書いています。
関連記事実家じまいの流れ。始める前の話し合いから売却・手続きまでの順番関連記事遺品整理の費用と進め方。いつ始めるか、自分でか業者か、売れる物まで売る・貸す・残す・解体する。4つの道の比べ方
どの道にも良い点と負担があります。家の場所や状態、家族の事情で合う道は変わるため、どれが正解とは言えません。まずは並べて見てください。
| 道 | 向いている家・家族 | 主な負担と注意 |
|---|---|---|
| 売る | 誰も住む予定がない。買い手が見込める場所にある | 売るまでの片付けと時間。売れたら確定申告が必要になることがある |
| 貸す | 借り手が見込める場所にあり、将来また使う可能性もある | 修繕や管理の手間とお金。貸している間は自由に使えない |
| 残す(空き家で持つ) | 家族の誰かがいずれ住む、または手放す決心がつかない | 固定資産税、草木や雨漏りの管理。放置すると近所に迷惑がかかる |
| 解体する | 建物が古く傷んでいて、土地として売る・使うほうが話が早い | 解体の費用。住宅がなくなると土地の固定資産税の軽減が外れることがある |
迷ったら、残すなら誰が管理するのかを先に話してください。担当が決まらない「とりあえず残す」は、空き家の放置につながりやすい道です。
関連記事空き家を放置するリスク。特定空家・管理不全空家と固定資産税の仕組み実家をどうするか決める順番
話し合いは、いきなり「売るか残すか」から始めると、気持ちの話とお金の話が混ざって進みにくくなります。次の順に確かめると整理しやすくなります。
- 誰が相続するか(親が健在なら、家の名義と親の意向)名義が誰か、兄弟で共有にするのかを確かめます。共有のままだと、売るにも貸すにも全員の同意が要ります。
- 住む人はいるか家族の誰かが住むなら「残す」が自然です。誰も住まないなら、次へ進みます。
- 維持できるか税金、修繕、見回りの手間とお金を、誰がいつまで負担するかを考えます。
- 手放すなら、どう手放すか仲介で売る、業者に買い取ってもらう、解体して土地で売るなどを比べます。
親が施設に入って家が空く場合は、売り主は親本人です。親の気持ちと判断できる力が大事になるので、別の記事にまとめました。
関連記事親が施設に入ったら実家を売る?売るときの注意と認知症の問題売ると決めたら。仲介と買取、売れにくい家
実家を売る方法は、主に不動産会社に買い手を探してもらう仲介と、不動産会社に直接買ってもらう買取の2つです。仲介は時間がかかっても高く売れる可能性があり、買取は早く確実に手放しやすい代わりに価格は下がりやすい、というのが一般的な違いです。
古い家、田舎の家、荷物が残っている家、兄弟の共有名義の家は、売れにくいことがあります。売れない理由を分けて考えると、打つ手が見えてきます。
関連記事不動産の買取と仲介の違い。実家を売るならどちらが合うか比べ方関連記事実家が売れないときの理由と対策。古い家や田舎の家を手放す方法実家じまいの手続きと期限
手続きの中で特に期限を意識したいのが、相続登記と税の特例です。
| 手続き | 期限の目安 | 確かめ先 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 不動産を相続したと知った日から3年以内(2024年4月1日から義務)。それより前の相続は2027年3月31日まで | 法務省、法務局 |
| 相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る。制度は2027年12月31日までの売却が対象 | 国税庁、税務署 |
相続登記は、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。特例は要件が細かいので、使えそうなら早めに税務署や税理士に確かめてください。相続した家を売る流れは、次の記事にまとめています。
関連記事相続した家を売却する流れ。相続登記から確定申告までの順番と期限実家じまいの費用は何で決まるか
費用は、片付け、解体、売却の手数料、登記、税金に分かれます。家の広さ、荷物の量、建物のつくり、場所、選ぶ道で大きく変わるため、このサイトでは決まった相場の金額は書いていません。代わりに、見積もりの比べ方と、売却代金から差し引けるものを整理しました。
関連記事実家じまいの費用の内訳。片付け・解体・売却・税金の考え方- 家族の間で意見が分かれて、話がまとまらないとき(弁護士、家庭裁判所の調停)
- 相続登記や名義の整理が必要なとき(司法書士、法務局)
- 売ったあとの税金や特例が使えるか知りたいとき(税務署、税理士)
- 親の判断する力に不安があり、家を売る必要があるとき(司法書士、弁護士、地域包括支援センター)
同じ時期に考えること
関連記事相続関連記事法要・供養関連記事遺品整理関連記事お墓の選び方関連記事墓じまいよくある質問
実家じまいはいつ始めればよいですか
親が元気なうちに、家をどうしたいか、名義は誰かを話しておくと、あとの手続きが楽になります。親が施設に入ったときや亡くなったあとに始める人も多く、その場合は相続登記などの期限から逆算して順番を決めます。
兄弟で意見が合いません
誰が相続するか、誰が管理するか、費用を誰が出すかを分けて話すと整理しやすくなります。まとまらないときは、弁護士への相談や家庭裁判所の調停という方法もあります。
売るか残すか決められないまま空き家にしてもよいですか
持ち続けることはできますが、管理と税金の負担が続きます。管理が行き届かず市区町村から勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が外れることがあります。管理する人と期間を決めておくことをおすすめします。
どこに相談すればよいですか
片付けは遺品整理業者、家の売却は不動産会社、登記は司法書士、税金は税務署や税理士が窓口です。不動産会社は複数に話を聞くと比べやすくなります。
実家じまい・空き家の記事一覧
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